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【活動報告】自動運航船時代を支える海事サイバーリスクマネージメント人材の育成へ―実運航船を用いた「海事サイバーセキュリティセミナー2025」開催報告および実践教育教材の共有について
独立行政法人国立高等専門学校機構 広島商船高等専門学校は、公益財団法人日本財団の助成を受け、「海事サイバーリスクマネージメント人材育成プロジェクト」の一環として「海事サイバーセキュリティセミナー2025」を実施いたしました。
日本の国際物流の99%以上を支える海運業界において、「MEGURI2040」をはじめとする船舶の高度自動化・自律運航技術の開発が進んでいます。一方で、航海機器や制御システム(OT)のデジタル化・ネットワーク接続が進むにつれ、サイバー攻撃のリスクは極めて深刻な課題となっています。
本プロジェクトでは、次世代の自動化船舶を開発・運用できる高度セキュリティ人材の輩出を目的に、全国の高専生と舶用機器メーカー等の実務者が協働する実践型教育プログラムを展開。その集大成として、練習船「広島丸」の実機環境を活用した本格的な侵入・防御演習を実施しました。また、海事産業全体のセキュリティレベル底上げを目指し、本セミナーで開発・アップデートされた教育カリキュラム・教材の共有を進めてまいります。
プロジェクトの教育方針と3つの特長
高度自動化・自律運航船の現場では、机上の知識だけでなく「船特有のシステム構造(OT/IT)を理解し、突発的なインシデントに即応できる現場力」が求められます。本プロジェクトでは以下の3つを軸に教育プログラムを構築しました。
・実運航船(練習船「広島丸」)を用いたリアルな攻防演習
模擬環境にとどまらず、練習船「広島丸」の船上LANや電子海図表示装置(ECDIS)、GPSなどの実機ネットワークを対象に、ペネトレーションテスト(侵入試験)とインシデントレスポンス(事故対応)を実施。海上と陸上支援センターが連携し、航行の安全を最優先にした実践的なトラブルシューティング能力を養いました。
・海事とITの壁を超える「産学共創チーム」での学び
全国の商船系・情報系高専の学生と、海事・舶用機器関連企業のエンジニアが混成チームを編成。6月からの3ヶ月間に及ぶ事前学習を経て演習に臨むことで、海事従事者とIT技術者が互いの専門領域や共通言語を理解し合う組織連携力を高めました。
・技術対応から社会的説明責任までを網羅する総合力育成
Day1の「脅威モデリング演習(リスクアセスメント)」に始まり、海上でのインシデント対応、さらに最終日には「模擬記者会見」を実施。技術的な原因究明だけでなく、関係各所や社会への説明責任を果たすコミュニケーション能力までを一貫して育成しました。
セミナー実施のハイライト
・Day1:リスクアセスメント(脅威モデリング演習)
船舶システムの構成図をもとに、想定される攻撃ルートや潜在的脆弱性をチームごとに洗い出し、対策シナリオを立案。
・Day2 & 3:洋上での実機演習(ペネトレーションテスト & 陸上支援センター連携)
練習船「広島丸」に乗り込み、航海計器への擬似攻撃を実施。海上クルーからの「計器の電源喪失」「GPS異常」といった緊迫した報告を受け、陸上支援センター側が即座にログ解析と原因特定、復旧指示を行う実践演習を展開。
・Day2 & 3:模擬記者会見
報道関係者役からの鋭い追及に対し、発生事象・対応状況・再発防止策を的確に説明する訓練を実施。組織トップ・広報・技術責任者としての危機管理対応を体感しました。
今後の展開:実践教育教材・カリキュラムの提供について
本セミナーで使用した教材およびシナリオは、株式会社ラック等のセキュリティ専門企業の知見を取り入れ、年々進化を続けています。
本プロジェクトでは、MEGURI2040が目指す安全な無人運航船・自動化船舶の実用化を人材面から支えるため、本セミナーで蓄積された講義資料、脅威モデリング手法、演習シナリオなどの教育教材を、教育機関や海事関連企業に向けて順次共有・提供してまいります。教材の利活用を通じて、業界横断的な海事サイバーセキュリティ教育の普及を促進してまいります。
開催概要
| 事業名 | 海事サイバーリスクマネージメント人材育成プロジェクト |
| イベント名 | 海事サイバーセキュリティセミナー2025 |
| 主催 | 独立行政法人国立高等専門学校機構 広島商船高等専門学校 |
| 助成 | 公益財団法人日本財団 |
| 協力 | 株式会社ラック、脅威モデリングコネクト東京、一般社団法人日本舶用工業会 |
| 後援 | 大崎上島町、竹原市 |
| 参加高専 | 広島商船高専、高知高専、木更津高専、仙台高専、弓削商船高専、新居浜高専、一関高専、富山高専、石川高専、鳥羽商船高専、大島商船高専 |
| 参加企業・団体 | 株式会社MTI、古野電気株式会社、株式会社ケーイーアイシステム、BEMAC株式会社、日本シップヤード株式会社、富士貿易株式会社、三井E&S造船株式会社、ベニックソリューション株式会社、KDDI株式会社、株式会社サンフレム、株式会社中北製作所、株式会社マリックス、新日本海フェリー株式会社、川崎重工業株式会社、一般財団法人日本海事協会 |








